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リュウジ流ケンタッキーフライドチキン 再現は「強力粉」と「魔法の粉」で勝つ。生焼けゼロの科学的攻略法

健太さん(38歳)

リュウジさんの「KFC再現レシピ」、動画で見るとめちゃくちゃ美味しそう…。
でも、スーパーに来てみたけど「オールスパイス」なんてどこにも売ってないぞ?
それに、揚げ物なんて普段しないから、生焼けで家族にお腹を壊させたらどうしようって不安で、鶏肉の前で固まってます…。

話題のレシピに挑戦したいけれど、見慣れないスパイスや失敗への恐怖で、あと一歩が踏み出せない。その気持ち、痛いほどよくわかります。

でも、安心してください。このレシピの成功を握っている鍵は、実はたった2つ。
「強力粉」「オールスパイス」だけです。

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ここさえ外さなければ、料理サイエンス的に「あの味」にならざるを得ません。

本記事では、なぜその2つが重要なのかという「理屈」と、絶対に生焼けさせないための「プロの視点」を解説します。これを読めば、あなたは自信満々でキッチンに立ち、今夜家族から「パパすごい!お店みたい!」という賞賛を浴びることになるでしょう。

この記事を書いた人:料理サイエンス・ナビゲーター 坂本
料理サイエンス・ナビゲーター 坂本
再現料理研究家 / 食品成分分析マニア
調理科学・スパイス配合理論

「料理はセンスではなく科学です」。大手食品メーカー開発部出身。感覚に頼らず、失敗する理由を論理的に解明し、誰でも100点が出せる「再現の方程式」をお伝えします。

目次

なぜ「薄力粉」じゃダメなのか?ザクザク衣の正体は「グルテン」にあり

まず、多くの人が陥る最大の失敗についてお話しします。それは、「家にあるから」という理由で薄力粉を使ってしまうことです。

断言しますが、薄力粉ではKFCのあの食感は絶対に再現できません。

なぜなら、KFCのチキンの最大の特徴である「ガリガリ・ザクザク」としたハードな衣は、小麦粉に含まれるタンパク質の一種、「グルテン」によって作られているからです。

ここで、強力粉と薄力粉という、性質の異なる2つの小麦粉を比較してみましょう。

「薄力粉の衣(サクッ・軽い)」vs「強力粉の衣(ザクッ・硬い)」の断面イメージ図

製粉会社のデータによれば、薄力粉のグルテン含有量が約6.5〜9.0%であるのに対し、強力粉は約11.5〜13.0%ものグルテンを含んでいます。

いつもの唐揚げなら、サクッと軽い薄力粉が正解です。しかし、今回目指すのはKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)です。あのワイルドな食感を出すためには、グルテンが形成する強固なネットワークが必要不可欠なのです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 今回だけは、必ず「強力粉」を新しく買ってきてください。

なぜなら、薄力粉で代用した時点で、それは「KFC風チキン」ではなく、ただの「スパイシーな唐揚げ」になってしまうからです。数百円の投資で、完成度は劇的に変わります。

オールスパイスがない!スーパーで焦る前に知っておきたい「代用の方程式」

次に、スーパーのスパイス売り場で多くの人を絶望させる「オールスパイス売り切れ問題」を解決しましょう。

そもそもオールスパイスとは何かご存知でしょうか? 名前から「いろんなスパイスを混ぜたもの(ミックススパイス)」だと思われがちですが、実はこれ、フトモモ科の植物の実、つまり単一のスパイスなんです。

しかし、この実が面白いのは、「ナツメグ」「シナモン」「クローブ」という3つの香りを併せ持っているという点です。だからこそ、KFCのような複雑なスパイスの香りを、たった一振りで擬似的に再現できる「魔法の粉」なのです。

では、もし売り切れていたらどうすればいいか? 答えはシンプルです。その構成要素を自分で混ぜればいいのです。

「オールスパイスの構成要素」を示す等式のイラストを作成してください。
・左辺:オールスパイスの瓶
・右辺:ナツメグの瓶 + シナモンの瓶 + クローブの瓶
・比率:「1 : 1 : 1」と大きく表示。

オールスパイスの代用として、ナツメグ、シナモン、クローブは最強の組み合わせです。

これらを「1:1:1」の比率で混ぜ合わせれば、理論上、オールスパイスとほぼ同じ香りになります。ハンバーグ用にナツメグがあるなら、あとはシナモンとクローブを買い足すだけでOKです。

よく「カレー粉で代用できませんか?」と聞かれますが、これはおすすめしません。カレー粉にはターメリックやクミンが含まれており、香りのベクトルが「カレー」に向いてしまうため、KFCの再現からは遠ざかってしまいます。

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「生焼け」と「衣剥がれ」を100%防ぐ。失敗しないための3つの鉄則

材料が揃ったら、いよいよ調理です。ここであなたが最も恐れているのは「生焼け」「衣が剥がれて素揚げになること」ではないでしょうか?

この2つの失敗は、以下の3つの鉄則を守るだけで100%防げます。

鉄則1:骨に沿って「火の通り道」を作る

手羽元は骨の周りに火が通りにくい部位です。揚げる前に、骨に沿って包丁で切り込みを入れておきましょう。こうすることで、熱が内部まで届きやすくなり、食べた時の「骨離れ」も良くなります。

鉄則2:衣は「手でギュッと握る」

バッター液(卵液)にくぐらせた肉を粉に入れたら、ただまぶすだけでは不十分です。手でギュッと強く握って、粉を肉に圧着させてください。

これにより、衣が剥がれにくくなるだけでなく、KFC特有のあの「鱗(うろこ)」のような凸凹が生まれ、ザクザク感が倍増します。

鉄則3:「黒い血」が完成のサイン

これが最も重要なポイントです。揚げ上がりの判断を「時間」や「色」だけに頼るのは危険です。確実なのは、手羽元と骨髄液(血)の変化という、原因と結果の関係を見ることです。

骨の切り口から出てくる肉汁や血が、赤いうちはまだ生焼けです。これが黒っぽい色に変色したら、中心まで完全に火が通った合図です。このサインを見逃さなければ、食卓で気まずい思いをすることは絶対にありません。

よくある質問:部位や保存方法について

最後に、よくいただく質問にお答えします。

手羽元以外の部位でも作れますか?

はい、鶏もも肉やむね肉でも美味しく作れます。ただし、KFCらしさを追求するなら、骨から出る旨味(出汁)が肉に回る「骨付き肉(手羽元)」がベストです。もも肉を使う場合は、大きめにカットするとジューシーに仕上がります。

たくさん作って余ってしまったら?

冷蔵庫で保存し、食べる直前にオーブントースターで温め直してください。電子レンジだと衣がベチャッとしてしまいますが、トースターなら余分な油が落ちて、ザクザク感が復活します。

今夜、あなたのキッチンがKFCになる

KFCの再現は、決して難しい魔法ではありません。
「強力粉のグルテン」「オールスパイスの香り」。この2つの科学的根拠さえ押さえれば、誰でも失敗なく、あの味にたどり着けます。

もう、スーパーの鶏肉売り場で迷う必要はありません。
自信を持って材料をカゴに入れ、キッチンに立ってください。

揚げたてのザクザクチキンを一口食べた瞬間、お子さんやパートナーの目が輝き、「これ、お店より美味しい!」という言葉が聞けるはずです。今夜はあなたが、家族のヒーローになる番です。

参考文献・出典
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