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オール電化の電気代が冬に4万円?「異常」ではない理由と、我慢せず月1万円削る逆転の節電術

オール電化の電気代が冬に4万円?「異常」ではない理由と、我慢せず月1万円削る逆転の節電術
佐藤さん

「今月の電気代、42,500円……!?嘘だろ、先月の倍じゃないか。オール電化の家を建てたのは失敗だったのか……?」

銀行口座の引き落とし通知を見て、目の前が真っ暗になっている佐藤健一さん。その焦燥感、痛いほどよくわかります。実は、私も数年前、初めてのオール電化住宅で迎えた1月に「4万円超え」の請求書を見て、妻と絶句した経験があるからです。

しかし、安心してください。結論から申し上げますと、2025年現在の日本の電気料金体系において、冬のオール電化で4万円という数字は決して「異常」ではありません。そして、今の生活の快適さを1ミリも犠牲にすることなく、設定を少し「チューニング」するだけで、来月の請求書から1万円を削り出すことは十分に可能です。

この記事では、元住設エンジニアの私が、佐藤さんのような「驚愕の戸建て初心者」に向けて、4万円の正体と、今日からできる「逆転の節電術」を具体的に解説します。

この記事を書いた人:高橋 賢治
高橋 賢治
省エネ住宅コンサルタント
元・大手住設メーカーエンジニア

1,000世帯以上の家計診断を行い、平均月8,000円の節電を実現。自身もオール電化住宅に住み、実体験に基づいた「我慢しない省エネ」を提唱しています。私も最初の冬は4万円の請求に震えました。あなたの後悔を、家計を強くするチャンスに変えましょう。

目次

なぜ「4万円」もするのか?2025年冬、オール電化家庭を襲う3つの正体

まず最初にお伝えしたいのは、「4万円の請求は、佐藤さんの使い方が悪いせいではない」ということです。2025年現在、電気代が高騰している背景には、個人の努力ではどうにもならない3つの外部要因が複雑に絡み合っています。

第一の要因は、「燃料費調整額」と「再エネ賦課金」の負担増です。世界的なエネルギー価格の変動により、電気の単価そのものが数年前の約1.5倍に跳ね上がっています。特に、オール電化住宅で消費電力が増える冬場は、この単価アップが請求額にダイレクトに響きます。

第二の要因は、政府による「電気・ガス価格激変緩和対策事業(補助金)」の縮小・終了です。これまで請求額を抑えてくれていた補助金がなくなったことで、実質的な支払額が数千円単位で底上げされています。

第三の要因は、「深夜電力プラン」の構造変化です。かつて「オール電化は安い」と言われた最大の理由は、深夜電力が格安だったことにあります。しかし、現在の電力各社のプランでは、深夜の割引幅が縮小しており、以前ほど「夜ならいくら使っても安心」という状況ではなくなっています。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 4万円という数字を見て「自分を責める」のは今日で終わりにしましょう。

なぜなら、現在の料金体系では、3人家族が普通に生活するだけで3万円台後半に達することは珍しくないからです。大切なのは、過去の請求額を悔やむことではなく、今の料金ルールに合わせて「家の設定」をアップデートすることです。

犯人は「エコキュートの設定」にあり!我慢せず月1万円を削り出す3つの逆転術

オール電化住宅において、冬の電気代の約3割〜4割を占める「真の主役」は、エアコンではなく給湯機(エコキュート)です。佐藤家の電気代を4万円に押し上げている最大の原因は、このエコキュートの設定が「旧来の常識」のままになっている可能性が高いです。

ここで、2025年版の「逆転の節電術」を3つ提案します。

1つ目は、「おまかせ多め」設定の解除です。エコキュートの初期設定によくある「おまかせ多め」は、湯切れを防ぐために必要以上にお湯を沸かしてしまいます。これを「標準」や「おまかせ」に変更するだけで、無駄な沸き上げ電力を月間約1,500円〜2,000円削減できます。

2つ目は、「沸き上げ時間のシフト」です。もし佐藤さんが太陽光パネルを設置している、あるいは深夜電力がそれほど安くない新電力プランを契約している場合、夜間ではなく「昼間」に沸き上げる方が安くなるケースが増えています。外気温が高い昼間に沸かす方が、ヒートポンプの効率が上がり、消費電力そのものを抑えられるからです。

3つ目は、「自動保温」の時間を短くすることです。お風呂の自動保温は、実は非常に電気を食います。家族が続けて入浴するように工夫し、保温時間を最短(またはオフ)にするだけで、月間数千円の節約に直結します。

エコキュートの沸き上げ時間シフトによる節約フロー図

エアコンは「つけっぱなし」が正解?冬の暖房費を最小化するプロの運用ルール

次に着目すべきは、冬の暖房の要であるエアコンです。多くの人が「こまめに消すのが節約」と信じていますが、冬のエアコンに関しては、その常識が逆効果になることが多々あります。

空調メーカー最大手のダイキン工業の調査によれば、冬のエアコンは起動時に最も大きな電力を消費します。外気温が低い冬場、冷え切った部屋を一気に暖めるパワーは、安定運転時の数倍に達します。そのため、30分程度の外出であれば、エアコンは「つけっぱなし」にする方が電気代は安く済みます。

比較項目 こまめに消す
(30分外出ごとにオフ)
つけっぱなし
(24時間連続稼働)
消費電力 ✖ 非対応
起動時の負荷が最大化
✔ 対応
安定運転で電力を抑制
室内の快適さ ▲ 一部対応
帰宅時に寒い
✔ 対応
常に一定の温度を維持
機器への負荷 ✖ 非対応
頻繁なON/OFFは負担
✔ 対応
低負荷運転で長持ち

また、エアコンの設定温度も重要です。設定温度を1度下げるだけで、暖房にかかる電気代は約10%削減されると言われています。とはいえ、寒さを我慢しては本末転倒です。そこで活用したいのがサーキュレーターです。暖かい空気は天井付近に溜まる性質があるため、サーキュレーターで空気を循環させることで、設定温度を上げなくても体感温度を2度ほど高めることができます。

【Q&A】電力会社は変えるべき?太陽光は後付けすべき?佐藤さんの最後の疑問

電気代が4万円を超える場合、電力会社を乗り換えるだけで安くなりますか?

結論から言うと、乗り換えだけで劇的に安くなるケースは減っています。現在の燃料高騰下では、どの会社も単価を上げざるを得ないからです。まずは「エコキュートの設定」などの使い方を見直し、その上で自分のライフスタイル(昼型か夜型か)に最適なプランを比較検討することをお勧めします。

太陽光発電や蓄電池を後付けすれば、この悩みは解決しますか?

長期的には非常に有効な解決策です。特に2025年以降は「電気を買う」より「自分で作って使う」方が圧倒的に得な時代です。ただし、初期投資に100万円単位の費用がかかるため、まずは現在の電気代の内訳を把握し、投資回収シミュレーションをしっかり行うことが先決です。
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窓の断熱対策は効果がありますか?

絶大です。住宅の熱の約50%以上は窓から逃げていきます。断熱カーテンに変える、あるいは「プラスチック段ボール」を窓に貼るだけの簡易対策でも、エアコンの稼働効率は目に見えて向上します。

まとめ:今日からエコキュートのリモコンを確認しましょう

💡 専門家が教える「穴の空いたバケツ」を防ぐ秘策

エコキュートやエアコンの設定を見直しても、窓から熱が逃げてしまっては「穴の空いたバケツに水を注ぐ」ようなものです。実は、冬の暖房熱の約58%は窓から流出しています。

リフォームはハードルが高いですが、「断熱カーテン」に掛け替えるだけなら、今日からでも対策が可能です。特に、デザイン性と超高断熱機能を両立したカーテンを選ぶことで、体感温度を上げながら、来月の電気代をさらに数百円〜数千円単位で抑えることができます。

私が佐藤さんのような戸建てオーナーにまず推奨しているのが、びっくりカーテンの断熱シリーズです。機能性はもちろん、インテリアを損なわない豊富なデザインが魅力で、家計を守る「最強の防波堤」になってくれます。

冬のオール電化で4万円という請求額は、決して佐藤さんの失敗ではありません。それは、今の日本のエネルギー事情を映し出した鏡のようなものです。

大切なのは、その4万円という数字に怯えるのではなく、家計改善のための「地図」として活用することです。まずは今日、この記事を読み終えたらすぐに、エコキュートのリモコンを確認して「おまかせ多め」を解除してください。その一歩が、来月の請求書を3万円台、そして2万円台へと引き戻す確かなスタートラインになります。

佐藤さんのマイホーム生活が、電気代の不安から解放され、家族の笑顔あふれる温かいものになることを心から応援しています。

参考文献・出典

電気料金の改定について – 資源エネルギー庁
ミッション:冬の節電 – ダイキン工業
家計調査(家計収支編) – 総務省統計局

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