佐藤さん(52歳)健康診断の結果が届いて、頭が真っ白になりました。総コレステロールが「218」。去年までは正常範囲内だったのに、急に「要経過観察」の文字が……。甘いものを控えて、食事には気をつけていたつもりなのに、私の努力が足りなかったのでしょうか?
健康診断の結果表を開いた瞬間、予想もしなかった数値にショックを受け、自分を責めてしまう。そんな経験をされている方は、あなただけではありません。特に50代を迎えた女性にとって、総コレステロールが200を超えるのは、決して珍しいことではないのです。
「何がいけなかったの?」「すぐに薬を飲まないと病気になるの?」という不安を抱えているあなたへ。結論からお伝えします。その数値は、あなたが不摂生をした証拠ではなく、女性として一生懸命歩んできた「体の変化」のサインです。
この記事では、最新の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」に基づき、50代女性が知っておくべき「本当の基準」と、今日からできる前向きな向き合い方を、女性医療専門医の視点から分かりやすく解説します。


更年期外来・循環器内科
数値をただ否定するのではなく、更年期女性のライフステージに寄り添う診療をモットーとしています。最新のエビデンスに基づき、一人ひとりのリスクに合わせた「納得感のある対策」を提案します。
なぜ200を超えた?更年期女性に起こる「体の変化」の正体
「去年までは大丈夫だったのに、なぜ急に?」その答えは、あなたの努力不足ではなく、体内の「エストロゲン」という女性ホルモンの減少にあります。
エストロゲンには、血液中の余分なコレステロールを回収し、血管を若々しく保つという、女性を守るための大切な役割があります。しかし、50代前後で閉経を迎えると、このエストロゲンが急激に減少します。すると、今までと同じ食事や生活をしていても、自然とコレステロール値が上昇してしまうのです。
つまり、50代女性の総コレステロール200超えは、多くの女性が経験する「生理的な変化」の一つ。まずは「自分の体が新しいステージに入ったんだな」と、今の自分を認めてあげてください。自分を責める必要は、全くありません。
【結論】: 数値だけを見て「今日から卵を一切食べない!」といった極端な制限はしないでください。
なぜなら、更年期のコレステロール上昇は食事だけが原因ではないからです。無理な制限はストレスを生み、更年期症状を悪化させる原因にもなります。まずは「エストロゲンが減った分、少しだけ体のメンテナンスを意識しよう」という、ゆったりとした気持ちで構えることが大切です。
「総コレステロール」より大切なこと。最新ガイドラインが教える本当のリスク判定
健康診断で「総コレステロール」が200を超えていても、実はそれだけで「即、病気」と判断されるわけではありません。最新の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」では、総数よりも「LDL(悪玉)コレステロール」の値と、他のリスク因子の組み合わせを重視しています。
特に、国立循環器病研究センターなどが提唱する「吹田スコア」という指標を用いると、あなたの本当のリスクが見えてきます。50代女性で、血圧が正常、タバコを吸わない方であれば、LDLコレステロールが多少高くても、10年以内に心筋梗塞などを起こすリスクは極めて低いことが分かっています。
[あなたのリスクをチェック!受診判断の目安]
| チェック項目 | 低リスク(まずは生活改善) | 高リスク(早めの受診を推奨) |
|---|---|---|
| LDL(悪玉)値 | 160mg/dL 未満 | 180mg/dL 以上 |
| 血圧 | 正常(130/80未満) | 高い(140/90以上) |
| 喫煙習慣 | 吸わない | 吸っている |
| 家族歴 | なし | 家族に心筋梗塞経験者がいる |
もしあなたが「LDLは140台で、血圧も正常」という状態なら、焦って薬を飲む必要はありません。まずは3ヶ月、食事や運動などの生活習慣を少しだけ見直すことから始めましょう。一方で、LDLが180を超えていたり、血圧も高めだったりする場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
まとめ:218は「これからの自分」を大切にするためのサイン
総コレステロール200超えという結果は、決して「不健康」の烙印ではありません。それは、更年期という人生の転換期において、「少しだけ自分の体を労わってあげて」という、体からの優しいメッセージなのです。
まずは、お手元の診断結果で「LDLコレステロール」の数値を確認してみてください。もしリスクが低いのであれば、今日から「エスカレーターではなく階段を使ってみる」「おやつをナッツに変えてみる」といった、小さな一歩から始めてみませんか?
もし不安が消えないときは、一人で悩まずに更年期外来や循環器内科を訪ねてみてください。私たち医師は、数値だけを見るのではなく、あなたのこれからの健やかな毎日を一緒に守っていくパートナーです。
参考文献・出典
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版 – 日本動脈硬化学会
更年期障害について – 日本産科婦人科学会
吹田スコア(動脈硬化リスク予測) – 国立循環器病研究センター








